故・神吉武司氏の哲学 「物にも命が宿っている」について

◆㈱吉寿屋の創業者神吉武氏が、先日お亡くなりになりました。
同社は、お菓子の業界では利益率が飛びのけて高い会社として知られています。卸業でこんな高い利益率が上がるわけがない。なにかからくりがあるはずと、以前は、よくそれが目的で見学申し込みがあったくらいです。

SMIを教材にした勉強会からお付き合いが始まったのですが、その後、神吉氏が主宰されていました「よしや塾」の世話役を頼まれていました。
神吉氏から身近に多くのことを学ぶことが出来ただけでなく、実践された
その結果も、いつも目の当たりにすることができました。
単に知識として学ぶだけでなく、私にとってこれほど確信が得られる学びはありませんでした。その中からいくつかをご紹介したいと思います。

◆「モノには命が宿っている」
商品のお菓子については、どこよりも大切に大切に扱っておられたのではないかと思います。
例えば、どんな事情があっても仕入れた商品をメーカーへ返品されることはありません。運送費をかけて返品された商品は、廃棄処分されるだけです。納入した商品が返品されることが、絶対にないということはメーカーにとって、これほどありがたいことはありません。

メーカーに返品される要因の一つは、賞味期限切れになった商品です。
食べ物ですから作られてから早いほど、おいしく食べられます。
そのための工夫努力は尋常ではありません。そのこともあって他社に比して商品の回転率が大変速いのです。ですから「よしや」さんの場合は、賞味期限が切れた商品が出ることはありません。

搬送時に梱包状態が傷んでいる商品は返品されるのが普通ですが、
吉寿屋では処理の仕方は様々ですが返品されることは一切ありません。

◆数年前こんなことが起こったのです。
神吉武司氏は出社(早朝)されると配送センターのお菓子に向かって、毎朝なされていることがあります。
「お菓子の皆さん!ありがとうございます」、「お菓子の皆さん!ありがとうございます」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・と何回も大きな声で反復されます。

お菓子に命が宿っていると、心底信じておられたから出来ることではないでしょうか?それが何の役に立つの?と思われる方もおられるかもしれません。

ある朝神吉氏が「お菓子の皆さん!ありがとうございます」と反復していたら、お菓子が「僕を出荷してもお金がもらえませんよ!」と言ったのです。
そこで担当の社員を呼んで、「出荷しないように」と指示されました。

その社員は「なんの理由もなく出荷を止めることなど出来ないのでは?」と言います。「それはそうだ!」と思い直し出荷することを許可されました。ところが、やはり八百数十万の代金が回収できなかったのです。

「吉寿屋」さんにとって800万位の損失はなんの問題もありません。
神吉氏は素晴らしい体験ができたと喜んでおられます。
「モノには命が宿っている」と、いくら口酸っぱく言うより、はるかに説得力があるからです。
それまでも社員の方は、商品を大切に扱っておられますが、それが、さらに心を込めて実践することになると思われたからです。

カンブリア宮殿というテレビ番組があります。神吉氏がその番組に出られた時、村上龍氏との対談の中で、こんなことがあったと話されて、大変話題になったことがありました。
テレビで放映後、あちこちから詳しい話を聴きたいとか、講演の依頼とかがあったようです。

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