三浦綾子さんの期待する力

◆作家の三浦綾子さんは、20歳過ぎに脊椎カリエスに罹り13年間ベッドの上での闘病生活を余儀なくされた時期があります。

当時は抗生物質がなく不治の病といわれていましたが、奇跡的に健康を取り戻し、その後「氷点」を処女作に作家として活躍されます。
その経緯が、自伝的著作「道ありき」に詳しく書かれています。 
何年もベッドで寝たきりの堀田(旧姓)綾子さんに、誰か話し相手になれる人を、ということで三浦光世氏が頼まれます。
共にクリスチャンということで頼まれたのですが、見知らぬ女性を、お見舞いすることに戸惑いを感じたということです。
三浦綾子さんは次のように語っておられます。
【三浦は毎週土曜日の午後に必ずお見舞いに来てくれます。
そして“堀田さんの病が必ず治癒されますように”というお祈りと共に“あなたは、いずれ大きな事を成し遂げる人です”と確信に満ちた口調で言うのです。
最初、不治の病と云われる病の私に、この人は何を言っているのか?と思いました。ところが、ひょっとしたら、私にもそんな力が潜んでいるかもしれないと思うようになっていました。
三浦が帰った後も、次の土曜日が来るまで寝ても覚めても、その言葉を頭の中で反芻していました。そして実際、元気になっていき退院できたのです】 
退院後二人は結婚され(光世氏35歳、綾子さん37歳)その後光世氏の言葉通り三浦綾子さんは作家として大活躍されます。
見えないけれど「期待する力」の存在を思わざるを得ません。期待する力は、それを自分で作りだそうと、誰か他人が私のために
抱こうと、その力は働きます。ことに信頼する人、愛する人から期待されると、信じられない力が発揮されます。
退院後も、綾子さんの人生は、次々と別の難病に苦しみながらの作家生活でしたが、驚くほど数々の作品を発表されています。
光世氏の献身的なサポートがあって、それに応えようと「期待の力」が、それを可能にしたことが「道ありき」を通じてよくわかります。

◆三浦光世氏のような人から私達も期待されたらいいのですが、それを待っていても始まりません。
私が出来ることがあります。それは「私が誰かに期待してあげること」「私が自分に期待すること」です。
小学生の時「君は絵が上手いね!」と褒められた一言が、生涯頭から離れることがなかった。それが活躍し続けられる原動力となっているといわれる画家がおられます。
言った方は忘れていても、言われた方は忘れません。それより忘れたくありません。ずーっと頭の中で反芻しています。寝ても覚めても思ていることは必ず実現されます。だから威力があるのです。 
私が私自身に期待することは、もっと大切ですが、すぐ否定的な思いになってしまいます。ですから飽くなき反復が必要となります。
しかしこれは、私が私の人生を支配するための価値ある挑戦です。
この際“ありがとう”の言葉を活用するのです。“ありがとう”によって否定的な思いになるのを防ぎ、また私に“ありがとう”を反復することによって私を祝福し「期待する力」を強めるのです。

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